前回の記事では、東京証券取引所の「プライム・スタンダード・グロース」の3市場について、それぞれの特徴を紹介しました。
では、高配当株投資をする場合、3市場のうちどこを中心に探せばよいのでしょうか?
結論から言えば、
高配当株投資では「プライム市場」と「スタンダード市場」を中心に探すのがおすすめです。
ただし、これは「グロース市場には高配当株がない」という意味ではありません。
今回は、高配当株投資という視点から3市場を見てみます。
まず結論!高配当株ならどこを狙う?
3市場を高配当株投資という視点で比較すると、次のようなイメージになります。
| 市場 | 高配当株との相性 | 特徴 |
| プライム | ◎ | 大型・安定企業が多く、配当を出す企業も多い |
| スタンダード | ◎ | 中堅・老舗企業などに高配当銘柄が見つかる |
| グロース | △ | 成長重視で、配当より事業への再投資を優先する企業が多い |
したがって、
「安定した配当を長く受け取りたい」
という高配当株投資なら、まずはプライムとスタンダードを中心に探すのが基本的な考え方です。
① プライム市場は「大型・安定」を狙う
プライム市場には、日本を代表する大企業が数多く上場しています。
例えば、
- 商社
- 銀行
- 通信
- 保険
- 石油
- 自動車
- 建設
- 電力・ガス
- 鉄道
など、成熟した産業の大手企業も多くあります。
こうした企業の中には、長年にわたって株主への配当を続けている会社もあります。
プライム市場の魅力
高配当株投資で重要なのは、
「配当をもらい続けられるか」
ということです。
プライム市場には、規模が大きく、事業基盤が比較的安定している企業が多いため、高配当株を探すうえでは有力な候補になります。
また、株式の売買も比較的活発なので、
「買いたいときに買いやすい」
「売りたいときに売りやすい」
という流動性の高さもメリットです。
② スタンダード市場は「隠れた高配当株」を探す
高配当株投資では、スタンダード市場もぜひチェックしたいところです。
スタンダード市場には、中堅企業や長年事業を続けている企業など、さまざまな会社が上場しています。
中には、
「知名度はそれほど高くないけれど、しっかり利益を出して、株主にもきちんと還元している」
という企業もあります。
いわゆる「隠れた優良高配当株」を探す楽しさがあるのが、スタンダード市場です。
スタンダード市場の魅力
例えば、
- 配当利回りが比較的高い
- 長期的に配当を維持している
- 増配を続けている
- 財務が健全
- 特定分野で高いシェアを持っている
といった企業が見つかることがあります。
ただし、プライム市場に比べると売買が少ない銘柄もあるため、出来高や時価総額なども確認することが大切です。
「高配当だから」という理由だけで飛びつくのではなく、企業の中身をしっかり確認したい市場です。
③ グロース市場は「高配当」より「成長」を狙う
一方、グロース市場は少し考え方が違います。
グロース市場では、現在の利益や配当よりも、
「これからどれだけ成長できるか」
が重視される企業が多くあります。
成長企業にとっては、利益を株主に配当するより、
「新しい事業に投資する」
「人材を採用する」
「研究開発を行う」
「海外展開する」
など、会社の成長のために利益を使うことが重要だからです。
そのため、
「高い配当金を安定して受け取りたい」
という投資家にとっては、グロース市場は優先順位が低くなります。
ただし「グロース=無配」ではない
ここは注意が必要です。
グロース市場だからといって、すべての企業が無配というわけではありません。
また、将来的に企業が成長して利益が増えれば、配当を始めたり、増配したりする可能性もあります。
したがって、
「グロース市場は投資対象外」
と決めつける必要はありません。
ただ、高配当株投資という目的であれば、まずプライム・スタンダードを優先するほうが効率的でしょう。
「高配当」と「増配」では狙い方が少し違う
ここが、高配当株投資では意外と重要なポイントです。
同じ「配当を重視する投資」でも、
① 今、高い配当をもらいたい
のか、
② 将来、配当金を増やしていきたい
のかで、銘柄選びが変わります。
高配当を重視する場合
現在の配当利回りを重視します。
例えば、
「配当利回り4%」
「配当利回り5%」
など、現在の配当水準が高い企業を探します。
増配を重視する場合
現在の配当利回りだけでなく、
「過去にどれくらい増配してきたか」
「今後も増配できそうか」
を確認します。
例えば、現在の配当利回りが3%でも、毎年増配を続けていけば、購入価格に対する実質的な配当利回りは将来的に高くなっていきます。
「利回り4%」だけで選ばない
高配当株を探していると、
「配当利回り5%!」
という銘柄を見つけると、つい魅力的に感じます。
しかし、ここには落とし穴があります。
配当利回りは、
1株当たり年間配当金 ÷ 株価 × 100
で計算されます。
つまり、業績悪化などで株価が大きく下落すると、配当金が変わらなくても配当利回りは上昇します。
例えば、
株価2,000円、年間配当80円なら、
80円 ÷ 2,000円 = 4%
です。
ところが株価が1,000円まで下落すると、
80円 ÷ 1,000円 = 8%
になります。
一見すると「超高配当株」に見えます。
しかし実際には、
「株価が半分になった結果、利回りが8%になった」
だけかもしれません。
さらに業績が悪化すれば、減配される可能性もあります。
高配当株は「配当利回り+企業の体力」で見る
そこで、銘柄を選ぶときには配当利回りだけではなく、次のような項目も確認します。
① 配当利回り
現在どれくらいの配当がもらえるのか。
ただし、高すぎる利回りには注意します。
② 配当性向
会社が稼いだ利益のうち、どれくらいを配当に回しているかを見る指標です。
極端に高い配当性向の場合、利益が減ったときに配当を維持するのが難しくなる可能性があります。
③ 配当実績
過去に、
- 減配していないか
- 無配になっていないか
- 増配しているか
を確認します。
長期の配当実績は、高配当株投資では非常に重要です。
④ 業績
売上高や営業利益などが長期的にどう推移しているかを確認します。
利益が安定していない企業の場合、配当も安定しない可能性があります。
⑤ 財務状況
自己資本比率や有利子負債なども確認します。
借金が多すぎる企業は、金利上昇や景気悪化などの影響を受けやすくなります。
⑥ キャッシュフロー
利益だけでなく、実際に会社に現金が入っているかも重要です。
配当金は現金で支払うものですから、安定したキャッシュを生み出せる企業は、高配当株投資との相性が良いと言えます。
「プライム+スタンダード」で分散するのも面白い
高配当株投資では、1社に集中するのではなく、複数の企業や業種に分散することが重要です。
例えば、
プライム市場
- 商社
- 通信
- 銀行
- 保険
- 石油
- 建設
など。
さらに、
スタンダード市場
- 中堅メーカー
- IT関連
- サービス
- 不動産
- 卸売業
などから選ぶ。
このように市場をまたいで分散することで、特定の市場や企業だけに依存しないポートフォリオを作ることができます。
投資信託なら「市場区分」を気にしすぎなくてもいい
個別株では、
「この企業はプライムなのか?」
「スタンダードなのか?」
と確認する必要があります。
一方、投資信託を利用する場合は、基本的にそこまで市場区分を気にする必要はありません。
例えば、日本株の高配当ETFなどを利用すれば、複数の企業にまとめて投資できます。
さらに、
日本株+米国株+海外株
などと組み合わせれば、国や市場をまたいだ分散投資も可能です。
高配当株投資では、
個別株だけでなく、投資信託を組み合わせる
という方法もあります。
私なら「市場」より「目的」から考える
高配当株投資で大切なのは、
「プライムを買う」
「スタンダードを買う」
と決めることではありません。
まず、
自分は何のために配当金を受け取りたいのか?
を考えることです。
例えば、
「今の生活費を補いたい」
→ 現在の配当利回りを重視
「将来の配当金を増やしたい」
→ 増配率や利益成長を重視
「できるだけ安定させたい」
→ 大型株やETFなども活用
「大きな成長も狙いたい」
→ 一部を成長株に振り向ける
というように、目的によって選び方は変わります。
まとめ
高配当株投資という視点で見ると、
プライム市場=大型・安定企業を中心に探す
スタンダード市場=隠れた高配当・優良企業を探す
グロース市場=高配当より成長性を重視する
という考え方ができます。
したがって、高配当株を探すなら、
「まずプライムとスタンダードをチェックする」
という方法がおすすめです。
ただし、最も重要なのは市場区分ではありません。
「プライムだから安心」
「スタンダードだから高配当」
「グロースだから危険」
ということではありません。
市場区分はあくまで銘柄探しの入口です。
その先にある、
業績・財務・配当・増配・キャッシュフロー・事業の将来性
まで確認することが大切です。
そして、高配当株投資では、
「高い配当をもらうこと」だけではなく、「その配当を長くもらい続けられること」
を意識したいものです。
配当金は一度もらって終わりではありません。
毎年、毎年、コツコツと入ってくる。
だからこそ、銘柄選びも「今」だけではなく、10年後、20年後にも配当を出してくれそうな会社か?という視点で考えてみたいですね。
株式投資は「宝探し」に似ています。
プライム市場だけを探すのもよし、スタンダード市場まで足を伸ばすのもよし。
グロース市場で将来の成長株を探すのもよし。
大切なのは、自分の投資目的に合った「宝」を探すことなのかもしれません。

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