【鉄瓶の再生法】1年ぶりに使う前にやるべきお手入れと注意点

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手乗り鉄瓶 日記
手乗り鉄瓶

鉄瓶を長く使っていると、「久しぶりに使いたいけどサビが心配」という場面、ありますよね。
今回は、私の愛用鉄瓶「松竹梅」を約1年ぶりに復活させた実体験をもとに、再使用前のお手入れ手順とポイントをまとめます。

想像以上に大変な作業になってしまいました。


鉄瓶は“使うこと”が最高のメンテナンス

私の鉄瓶「松竹梅」は“煎茶鉄瓶”と呼ばれるタイプ。
お茶に含まれるタンニンと鉄瓶から溶け出す鉄イオンが反応して、内部をコーティングしてくれます。

つまり──
毎日使うことがサビ防止になります。

お湯だけを沸かす鉄瓶でも、たまにお茶を淹れて数時間置くだけで、錆びにくい皮膜を作ることができます。


約1年ぶりの再会、外側の状態チェック

最後に使ったのは昨年秋、畑の合間に楽しんだ外コーヒーのとき。
約1年ぶりに物置から出してみると、外側はうっすら茶色。

松竹梅文煎茶鉄瓶
松竹梅文煎茶鉄瓶

しかしこれは問題なし。
むしろ備前焼のような味わいで、山形鋳物らしい柔らかな色合いに。
南部鉄器の黒よりも温かみが感じられます。


中は意外と無事!新聞紙保管が効果的

心配だった内部の赤サビはほとんどなし(黒サビが多い)。
前回の使用後にしっかり乾燥させ、新聞紙で包んで保管していたのが功を奏したようです。

ただし、中の匂いを嗅ぐと「鉄くさい」
試しにお湯を沸かすと、かなり濁って白湯では飲めないレベルでした。

まだ濁りがある
まだ濁りがある

【手順】煎茶を使った鉄瓶のリセット方法

ここからは、実際に行ったお手入れ方法を紹介します。

基本的に鉄瓶の内部は触りません。

① 茶葉で煎茶を淹れて、その中に鉄瓶を浸す

お茶のタンニンが、鉄イオンと反応してサビを防ぐ皮膜を作ります。

② そのまま一晩放置

お湯が真っ黒になるのは成功のサイン。
表面に保護膜が形成されつつあります。

黒いお湯に一晩漬ける
黒いお湯に一晩漬ける

③ 翌朝すすいでお湯を沸かす

IH非対応のため、私はポケットストーブ+自作アルコールストーブで加熱(外メシ仕様)。
炎のサイズもぴったりでした(炎が鉄瓶の側部を覆うようでは強すぎです)。

煎茶を沸かす
煎茶を沸かす

④ 濁りが取れるまで繰り返す

お湯を沸かして捨てる→煎茶を淹れて捨てる、を数回繰り返します。

通常はこれで澄んだ白湯が沸かせるはずです。

ところが、この鉄瓶の場合は、これを30回(!)繰り返しても、薄い茶色のお湯で、湯呑みの底には細かい黒い粒(黒サビ?)が沈んでいて、澄んだ白湯にはなりませんでした。

別のリセット方法を試す


30回もお湯を沸かして茶葉煮込みまでしても茶色いお湯が続くということは、内部の酸化膜(赤錆 or 未安定な酸化第二鉄膜)が完全に安定していない状態と思われます。

状況の推測

内部に赤錆(Fe₂O₃)が発生している

古い鉄瓶を復活させるときによくあるケースです。錆が内部に残っていて、お湯に溶け出しています。
 → 赤錆はお湯に色が出るだけでなく、味も金属っぽくなります。

内側の酸化被膜が不安定(黒錆化していない)

長年使われていなかった鉄瓶は、黒錆(Fe₃O₄)層が失われています。
 → 最初のうちはどうしても茶色や黄色が出ます。

対処法(黒錆化の再構築)

ステップ1:再加熱による黒錆安定化(2〜3日間)

①鉄瓶に水道を8分目ほど入れる

水道水で十分。軟水ミネラルウォーターは避ける。

②フタを少しずらして火にかける
③グラグラとしっかり沸騰してから時計を見て、そこから10〜15分キープ

「黒錆の再生」には、鉄の表面に酸素がじんわり作用する時間が必要です。
水温が上がるだけでは足りず、沸騰状態を10分〜15分保つことで、内側に安定した酸化皮膜(黒錆)が形成されやすくなります。

④その後に火を止めて、お湯を全部捨てる
⑤フタを外して、余熱で自然乾燥

①〜⑤を1日2〜3回、2〜3日繰り返す。

これで内部の酸化第二鉄(赤錆)が徐々に酸化第一鉄(黒錆)に変わります。

ステップ2:お茶タンニン浴(1〜2回)

黒錆化が進んだら、次はタンニンでコートします。

①ほうじ茶か煎茶を多めに入れて水を張る。
②沸騰→弱火で10分煮る。
③火を止めて一晩放置
④翌朝、湯を捨てて軽くすすぎ、乾かす。

これで内壁がタンニン被膜でコーティングされます。

ステップ3:最終手段 金たわし!

ステップ2でも薄茶色のお湯ばかりで心が折れそうになりました。

そうなれば最終手段、鉄瓶の中を金たわしで徹底的に擦ってサビを取り除いてゼロからのスタートです。

① 水で濡らしながら金たわしで擦ります。どうせここまでやるなら徹底的にサビを擦り落としました(30分)
② すぐにサビるので、急いで茶葉を入れて沸かします。沸騰したら茶葉を捨てます。
③ 余熱で乾燥させます。
④ ①〜③を3回実施します。

これでようやく透明な白湯を沸かすことができました!

✳︎ステップ1、2で透明な白湯にならなかったら、意地にならずに思い切ってステップ3に進んだ方がよいですね。

手間がかかるほど愛着が湧く鉄瓶

外見は良好でも、内部のリセットにはかなりの時間がかかりました。
それでも、こうして手をかけて甦る鉄瓶には格別の愛着が生まれます。

そして久々に淹れた白湯の味は──
「うん、美味い!」
このひとことに尽きます。


今後は「鉄瓶のお手入れ完全ガイド」も公開予定

今回は私の鉄瓶「松竹梅」を復活させた実例でした。
次回はより詳しく、

  • サビが出た場合の対処法
  • 煎茶以外の手入れ方法
  • 保管時の湿気対策

などをまとめる予定です。


久しぶりに使う鉄瓶のチェックポイントまとめ

■外観確認:茶色の変化は味。剥がれや変形がなければOK

■匂いと濁りチェック:鉄くさい場合は煎茶煮出しでリセット

■乾燥保管:使用後はしっかり乾燥+新聞紙包み

■定期的に使用:毎日使うことが最大のサビ対策

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